会社で一生懸命に仕事をし、高い給料をもらい、少しでも上のポストを目指す。多くの人が現役時代は、そんな気持ちで働いています。いってみれば、実績を積み上げる「足し算の人生」です。けれども定年になったら、背負うものを減らす「引き算の人生」にしてもいいのではないでしょうか。

ビジネスマンの人生は飛行機のようなもので、新入社員は燃料を目一杯に使って離陸します。やがて巡航速度に達し、目的地が近くなると徐々に高度を下げ始める。まさに定年間際は、この着陸体勢に入った状態です。そして、スピードを落として滑走路に降ります。

65歳までの再雇用が認められる時代になりましたが、役職をはずれ、給与の手取り金額ががくっと目減りするでしょう。しかし、その代わりに責任は小さくなって、気持ちが楽になることだってあるはず。そしてふと、自分が人生の折り返し地点に立ったことに気づく……。私は、そのときが本当の意味での「還暦」だと思います。