鼻炎の悩みを忘れさせた「ユーカリの香り」

では、「花粉症スパ」はどんな内容なのだろうか。

「今年は内容を一新し、腸にフォーカスしています。とくに男性向けのプランでは、腸の活性化に働きかけるストレッチ効果の高いボディトリートメントに加えて、さらに血行を促進させ、治癒力を高める目的でヘッドスパを組み合わせました。鼻水や鼻づまりといった不快感の軽減だけではなく、力強い、ダイナミックなストロークが、デスクワークや外回りで凝り固まった肩、首、腰、足の疲れも和らげてくれます」

そこで今回、滑舌が悪くなるほどの鼻炎に年中悩まされている35歳の中年記者が、花粉症対策パッケージを実際に体験してみることにした。

スタートはカウンセリングから。体質改善やデトックス効果が期待できるオリジナルの酵素ドリンクを飲みながら、セラピストの問診を受ける。花粉症対策コースを希望しても、体調や症状によって別のプランを提案することもあるという。

カウンセリングが終わると、いよいよトリートメントルームへ。最初にミストが充満したシャワールームで汗を流し、真っ白なガウンを羽織ったら、足湯タイムだ。セラピストが塩のスクラブを膝から下に丹念に揉み込んでくれる。早くも身体の芯が温まり、全身に熱が籠っているような感覚を覚えてしまう。毛穴という毛穴からじんわりと汗がにじみ出る。

ボディトリートメントの最中。ミントがブレンドされたオイルを使って丁寧に身体をほぐしていく。施術中の室内はまるでスポットライトのように身体にだけライトが当たり、周囲はもっと暗い。

施術効果を高めるために基礎代謝を上げたら、いよいよ本格的なトリートメントがスタート。薄暗くした部屋のなかで心地よいヒーリング音楽を聴きながら、全身の凝りをほぐしつつ、腸の活性化を目指すトリートメントが行われる。免疫力を高めるべく、腸の形に沿ってトリートメントを施した後、呼吸に合わせながらゆっくりと静かに圧をかけていく。

原稿の締め切りや編集者のムチャぶり取材などに追われ、不規則な生活が続く記者のお腹は、メタボ気味ということもあってかなり張っていた。だが、苦しいと感じることはなかった。トリートメントに用いられるミントがブレンドされたオイルは人肌ほどに温められ、実に心地よい。十分に開ききった毛穴からオイルが浸透し、全身を爽快感のある香りが包んでいく。

呼吸に合わせながらゆっくりと腹部に圧をかけ、腸内の活性化をはかっていく。施術後、1週間くらいは便通がかなり良かった。

施術中はリラックス効果を高めるため、視界が閉ざされているので、セラピストの動きを見ることはできない。同伴していた編集者いわく「動きはなかなかダイナミックだけど、ハープを奏でるような優しいタッチ」と、セラピストの手技に賛辞をおくっていたが、実感としては、メリハリがあり、要所では意外と力強い。まさに“イタ気持ちいい”のだ。

そしてトリートメントも終盤へ。全身にストレッチを施したら、最後の締めはヘッドスパだ。鼻粘膜の腫れを鎮め、空気の通りを良くすると言われているユーカリがブレンドされたオイルで首から頭にかけての凝りをほぐしていく。呼吸するたび、鼻腔や喉にすっきりとした香りが通り抜ける。気づいたときには、鼻炎であったことも忘れていた。