現在、日本の喫煙者の割合は19.3%(男性32.2%、女性8.2%)。年間約2兆円のタバコ税を納めている愛煙家だが、喫煙可能な場所がまた狭まることになるかもしれない。というのも、2020年東京五輪の開催に向け、厚生労働省は受動喫煙防止対策の強化案を示し、法制化を目指している。厚労省案は、飲食店などのサービス業は原則建物内禁煙。店内で吸う場合には受動喫煙防止対策の基準に適合した喫煙室の設置義務が求められ、違反者には罰則が適用されるというもの。
これに対し、「受動喫煙防止強化に対する緊急集会」が1月12日、都内で行われた。日本フードサービス協会など5団体が出席し、「一律に原則建物内禁煙を課すことなく、これまで取り組んできた業界の自主的な取り組みについて、一層の理解と支援と賛同を求める」と決議した。業界団体は分煙対策、ステッカーによる喫煙環境の明示など、自主的に受動喫煙防止に取り組んできた。しかし、厚労省は罰則を含め、より高い実効性を求めている。
喫煙室の設置には高額の費用がかかり、小規模の飲食店にとっては死活問題となる。店内に喫煙室がなければ、喫煙者は屋外でということになるが、多くの繁華街は路上喫煙禁止で、違反者には過料が科せられる。
集会に参加した石破茂議員(自民党)は「強化策が実施されれば個人事業主は確実に減る。全国にするとマイナス4000億円の経済効果という試算もある。他人に迷惑をかけないことは大前提だが、個人の価値観や楽しみをまで否定する社会がいいとは思わない」。
全国に先駆け受動喫煙防止条例を制定した神奈川県選出の上田勇議員(公明党)は、神奈川県でも小規模施設は例外と定めたことに触れ「官公庁や医療機関、教育機関といった利用者が選択できない公共の施設と、選択可能な飲食店などを一括でくくるのは問題が多い。柔軟な対応が必要だ」と述べた。
誰も受動喫煙の防止自体に反対をしているわけではないが、はたしてどうなるか。会場には「どこまで規制する気だ」というため息も。大森利夫氏「全国生活衛生同業組合中央会理事長」は「知恵と工夫で多様性のある分煙先進国としていきたい」と語った。