「早期化」「多様化」「積極化」が特徴だった2017年卒の新卒採用。企業が危機感を強める一方、学生にはある傾向が顕著になっている。

3月1日、企業の新卒採用の広報が解禁になり、今年も学生の就職活動が始まる。はたして今年はどんな動向になるだろうか。

面接を待つ学生たち。大卒の内定率は近年上昇している。(時事通信フォト=写真)

2017年卒の新卒採用を振り返ると、「早期化」「多様化」「積極化」の特徴が見られた。近年、企業は採用意欲を高めており、大卒の内定率は12月1日時点で85.0%と、過去10年の最高を記録。新卒の学生を取り合い、簡単に人材を確保しにくくなっている。こうした状況から、学生に早く出会わないと自社について知ってもらえないという不安が企業に広がり、会社説明会の開催、エントリーシートの受け付け、水面下による面談や選考、内定を出すタイミングなど、前年より前倒しのスケジュールで動く企業が増えた。経団連の調査によれば、3月に会社説明会解禁、6月に面接解禁のスケジュールが守られなかったと感じる企業は約9割近くで、ルールが形骸化している状況だ。早くから存在を認識してもらおうと、インターンシップに注力する企業も増え、実施企業は延べ1万社を超えている。

総合商社は「リクルーター」に注力

多様化も進んだ。最近の採用ツールは、就職サイト、合同企業説明会が主だったが、学生と企業が出会うきっかけとなるツールが誕生したり、復活したりしている。たとえば03年の個人情報保護法の施行以降、大学が情報を開示しないため衰退していったOB訪問は、SNSの普及により改めて利用されるようになった。また、かつては理系学生、体育会系学生へのアプローチとして使われていたリクルーターも、近年、総合商社が活用しだし、いわゆる文系職種の採用まで拡大している。これらのツールにより、新卒採用の広報解禁前から学生と企業が出会えるというメリットもある。そして「早期化」「多様化」の流れを受けて、採用に関わる社員や予算を増やす「積極化」も目につくようになった。

現在の景気予測や各社の採用予定人数の調査から見ると、有効求人倍率が下がる可能性は低い。そうなると18年卒の新卒採用は、今までの特徴が継続し、さらに強化されるはずだ。