プレミアムフライデーはみんながうれしい?
2017年2月24日金曜日から、プレミアムフライデーと呼ばれる新たな消費喚起対策がスタートする。経済産業省と経団連や小売・飲食等の業界団体が旗振り役となって、毎月末の金曜日午後3時には仕事を終えて帰るように従業員に呼びかける試みだ。新たな消費喚起対策に育てるということに加えて、長時間労働の是正など働き方改革にもつなげていきたいというのが目的であるとされている。
「月末の金曜日という繁忙時期に、午後3時に帰ることを心底から望む従業員はどれくらいいるのだろうか」
「経団連加盟企業や業界団体幹事企業などの従業員以外に、どれだけの広がりを見せるのだろうか」
「小売・飲食・サービス業などのプレミアムフライデー担い手企業は既に人手不足が深刻になっている。従業員にはさらなるしわ寄せはこないのだろうか」
目的が達成されること自体は、国・企業・従業員それぞれにとって望ましいことであることは確実だが、私はプレミアムフライデーに対するこれら3つの率直な問題意識をもっている。そこで、プレミアムフライデーの経緯や実効性、その課題などについて考察し、このイベントを通して見えてくる現在の日本の状況について論じてみたい。
“ブラック”と“プレミアム”の違い
プレミアムフライデーは、政府が2016年6月2日に発表した日本再興戦略2016のなかで、消費増大のために「日本版ブラックフライデー」として、経団連等とともに企画したものである。最大のミッションは2020年前後にGDPを600兆円にすること。そのために消費増大を目論んでいるというのが、主たる背景としてある。
このイベントは、米国のブラックフライデーを参考に企画されている。米国では毎年11月の第4金曜日(感謝祭にあたる第4木曜日の翌日)に開催され、クリスマス商戦・年末商戦の幕開けとなるイベントとなっている。もともと定められた休日ではないが休日となるところが多く、小売業界では1年で最も売上が多い日として知られている。小売業が儲かって黒字になるということで、ブラックフライデーと呼ばれている。