国内各地に700店以上の店舗がある「コメダ珈琲店」の看板メニューといえば「シロノワール」です。温かいデニッシュパンの上に冷たいソフトクリームとチェリーがのった、熱烈ファンも多い商品です。これが生まれた背景を紹介しましょう。
「大手が真似できない」商品
シロノワールが生まれたのは1977(昭和52)年。もう40年になるロングセラーブランドです。その誕生には「危機感」がありました。
「1968年に名古屋市西区で開業したコメダ珈琲店の新店舗を、石川橋(同市瑞穂区。現在のコメダ珈琲店 本店)に出す時、周囲に相談したら『絶対に失敗するよ!』と猛反対されました。あまりにも反対されるから心配になって、『じゃあパンのメニューを増やそう』と決め、日清製粉の主催するパン教室に習いにも行きました。この時に、製パンメーカーのフランスパンにシロノワールのデニッシュパンを開発してもらったのです」
コメダ創業者の加藤太郎さん(現・珈栄舎代表取締役)は、こう明かしてくれました。いまでこそ当たり前のデニッシュパンは、当時はまだ国内に出始めた時期。「新しいもの好き」の加藤さんは、「大手が真似できない」手法をいろいろ考えていったそうです。食パンなど、パンは四角が普通だった時代に、丸いデニッシュパンにしたのもその1つだとか。
その後、星乃珈琲が類似商品「ホシノワール」(当時)を投入しましたが、マーケティングの世界では「商品は真似できても、ブランドは真似できない」ともいわれます。
なお、長年の取引先だったフランスパンは2013年にコメダが買収。現在は直営工場としてコメダ珈琲店に納入するパンを製造しています。