小売店や飲食店など一般消費者を相手にする業種の店舗業態は、大きく分けて「繁華街型」と「郊外型」があります。前者は人通りの多いターミナル駅前など、後者は各地の主要道路沿いなどです。さらに細かく「ビルイン」(雑居ビルの中に入る店舗)や「戸建て」などで分けるケースもあります。

近年は東京都心の「渋谷宮益坂上店」(東京都渋谷区)や「池袋西武前店」(同豊島区)などターミナル駅近くのビルインにも出店しているコメダ珈琲店ですが、もともと得意なのは郊外型の一戸建ての店舗スタイルです。クルマで走っていて「コメダがあるな」と認識できる店構え。その意味で、黒×オレンジのコメダカラーは視覚効果が高いといえます。

「出入りにストレスがない」が大切

国道や幹線道路、生活道路といったロードサイド沿いの郊外型店で欠かせないのは駐車場です。実は、コメダの郊外型店は「駐車場を設計してから建物を設計する」そうです。なぜ、そんな段取りをするのか。開発部門統括のコメダ専務・高橋敏夫さんはこう話します。

視覚効果が高い「黒×オレンジ」のコメダカラー

「お客さんのストレスをできるだけ減らすためです。特に郊外型店は店内に入ってからではなく、『店が見えた段階からお客さんの体験が始まる』と考えています。クルマを運転していて『あ、コメダがある。寄っていこうか』と思った場合、スムーズにクルマが敷地内に入って駐車できるよう広いスペースがあることは非常に大切です」

もし駐車場が満車で出ようとした場合、手狭な駐車場だとマイナスイメージしか残らないそうです。

「車間スペースも狭い駐車場で何度かハンドルを切り返して、やっとの思いで駐車場を出たとしたらどうでしょう。満車で入れない、駐車場から抜け出すにも一苦労だったでは、お客さんに不快な印象ばかり残り、2度と来ないと思うかもしれません。逆にスムーズに出られれば、また空いている時に来ようと思っていただけるのではないでしょうか」(同)

コメダの店は、1台ごとのスペースを広めにとっており、駐車場の入口と出口を分けている店も多いそうです。また、車止めを3つ設置する場合もあり、縦列駐車が苦手な人も、安心して駐車できる工夫もしています。