現役員らの暴走を止め、経営を正常化させる

――なぜこんなことに。

昭夫は自分ひとりがターゲットになると、風当たりが強くなると思い、私や父など家族を巻き込んだんだと考えています。贈与についても、まるで父が無理やり指示してやっているように言われていますが、あれはでっちあげだったのではないでしょうか。父は事業に対して並々ならぬ労力を注ぐ一方、税務などに関しては専門知識があるわけではないので、そうした分野には、税務に精通した専門家を役員として迎え入れるなど、適切な税務処理をするよう最大限注意を払ってきました。そうした父が脱税を指示するなどということがあるわけないと思いますし、これまで聞いたこともありません。

――昭夫さんは起訴されたあとにお父さんと宏之さんが日本に行って何かアクションを起こされることを警戒したのではないでしょうか。

それもあったかもしれません。弟だけが起訴され、私が日本にいって弟が起訴されたと従業員に話をして説得されるのを嫌ったのかもしれません。自分だけが悪いわけではない。総括会長も悪いんだということを示すために無理なストーリーを検察に出してきたんだと思います。そして、前代未聞の規模の捜査を行ったにもかかわらず思うような成果を出せていない検察がある意味それに乗っかってしまった。

――日本のロッテグループは今回のソウル中央地検の捜査に対してどのような対応をとっているのでしょうか。

韓国ロッテは、日本に関する資料について株主の同意が得られず提供できないと韓国検察に言い訳をしたとされています。ところが、ロッテグループ各社の株主は最終的には日本ロッテホールディングスです。したがって、日本ロッテの役員が資料提供を拒んだという見方がされています。また、ご承知のとおり、一連の捜査を受けて、昭夫が起訴されたあと、日本のロッテホールディングスの取締役会は昭夫の続投を承認したと発表しました。形ばかりの社外取締役がいてもガバナンスが発揮されていないことは明らかです。

――宏之さんは、検察捜査とは別に、不正会計疑惑で重光昭夫氏や韓国ロッテを刑事告発しています。どのような事実が見つかったのですか。

私どもは裁判を起こして韓国ロッテショッピングの決算書の提供を求めたのですが、それをなかなか出してくれなかったのですが、それが今年の1、2月ごろに出てきて、1万6000ページぐらいありましたか。それ以外にも別の会社で6000ページにも及ぶ資料が提供されました。それを分析しました。

中国で投資している先が資産を食いつぶして資本金がマイナスになっているのにもかかわらず、減損処理をしていなかった。金額にすると、数千億ウォンです。私が会計帳簿の請求をしたあとで、昨年韓国ロッテショッピングは大幅な損金を計上して、上場以来初めて、赤字を計上しました。環境が中国で悪化したためだと説明しているようですが、私が帳簿を閲覧したので隠し通せなくなったためだと思っています。しかし赤字を隠す粉飾決算をしていたことは間違いありません。2社とも資本金を食いつぶしているにもかかわらず、減損処理をその年度でやっていなかった。これは株主としてソウル中央地検にも9月30日に告発しています。

不正を放置することは、ロッテグループのためには決してならない。ましてや、まじめに働く社員たちの知らないところで、会社が蝕まれていくことは止めなければならないと思います。現役員らの暴走を止め、ロッテの経営を正常化させるために今後もできることはすべやっていくつもりです。(次回に続く)

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