相続税の「物納」土地からシアンが検出
前回(http://president.jp/articles/-/20372)、土壌汚染を巡る公害訴訟が、かつてのそれとは性格を異にし、渦中の東京都「豊洲移転問題」との共通項が多いことを指摘した。近年のその紛争の事例の特徴をまとめると、以下の通りとなる。
●過去数十年前に行われた事業活動等に伴って生じたものであること
●対策費用が莫大であること
●一度土壌汚染が発見されると、健康への影響や環境悪化への不安や懸念を払拭することは容易ではないこと
●汚染に関する情報の公開が遅れたり、情報を小出しにしたり、説明が二転三転したりすると、そうした懸念や不安は不信感に変わり、信頼の醸成や信頼に基づく解決を難しくすること
●土壌汚染の内容と範囲を把握するのは難しいこと
●加えて、どこまでが誰の責任なのかの把握することも難しいこと
●したがって完璧な対策を講じるということは極めて困難であること
●これは汚染を伴う事業活動を行った者が講ずべき対策に係る費用が最終的にどれくらいになるのか確定させるのを難しくていること
●対策を講じることは拒否も否定もしないものの、できるだけ早く確定・終了させたい汚染事業者と、完璧な対策を求める住民や土地購入者等との認識にはズレが生じることが多いこと
●対象範囲を決めて対策が行われることが多いので、対象範囲外から土壌汚染が発見されても、対策を行う対象外とされてしまい、周辺住民も巻き込んだ紛争となることもありうること
いずれも、各メディアで報道されている豊洲移転問題を思い出させる項目ばかりだ。では、以下で個々の具体例をみていこう。