大都市圏の土地供給はほぼ無限になる

大学で経済を学んだ人なら覚えているかもしれないが、資本主義における成長(生産)の3要素は何かといえば、労働(力)と資本と土地である。

この原理原則に立ち返って考えてみると、日本経済の成長の方向性はハッキリする。

人口減時代に突入して労働人口が毎年30万人ずつ削られている現状では、成長戦略に“労働”は使えない。ベビーブーマーのときのような人口ボーナスは遠い昔の話だ。

資本はどうか。産業革命以来、世界の成長を支える資本は圧倒的に不足してきたが、高齢化が進んだ先進国では今やカネ余りで、ほとんどの国がゼロ金利の状態である。北欧でもカナダでもオーストラリアでも、そして日本でも、年金や保険の資金はあり余っていて、よほどうまい運用をしなければリターンは1%も出ない。超過剰な資本を振り向ける有効な投資先がないのが先進国の現実だ。

残るは土地である。国土の狭い日本は成長に使える“土地”があまりないように思われがちだが、実はそうではない。さまざまな規制があるために、土地の活用が制限されてきた。たとえば都市計画法で規制されている市街化調整区域。これを取っ払ってしまえば、大都市圏の土地供給はほぼ無限になるのだ。

労働も資本も、もはや日本経済の成長の糧にはならない。しかし、理不尽な規制のおかげで「土地ボーナス」だけは膨大に蓄積されている。今の日本経済にとっては唯一の成長機会といえるだろう。私は20年以上前から土地の使用方法や規制権限を中央から自治体に委譲すべきだと提唱し続けてきた。今こそ、これを実現して土地ボーナスの解放を図るべきなのだ。解放効果の高い土地ボーナスとして、私が繰り返し指摘してきたのが「容積率の緩和」である。今回は日本の成長戦略にとってなぜ容積率が最重要なのか、論点を整理してみたい。

世界を見渡してみると、容積率を全国一律に国が決めているのは、日本と日本に倣った韓国以外にはないといえる。