工場跡地で止まらない六価クロム漏出

<事例3>過去に行われた事業活動に伴って生じた土壌汚染について、事業者が対策を講じたが、その後も汚染が漏出している事例

数十年前まで操業していた工場跡地を民間事業者から購入した地方公共団体が、再開発事業に当たってボウリング調査を行ったところ、六価クロム鉱滓(こうさい)による汚染が発見された。同地公体は、前土地所有者である同事業者を提訴、汚染土壌の処理と処理費用の負担を同事業者が行う旨の協定が結ばれ、土壌の入れ替え、六価クロムの無害化処理、盛り土、粘土層による覆土等の対策が講じられ、当該土地は当初の施設建設計画を変更して公園として供用が開始された。

ところが、程なくして公園の側溝から高濃度の六価クロム汚染水が検出される。同地公体は応急対策を施すものの、その後も六価クロムの漏出は止まっておらず、周辺住民と地方公共団体の間の紛争にまで拡大、裁判手続き等も経て争いは沈静化したものの、周辺住民の不安は解消されないままである。(そのメカニズムについては、ある大学の研究チームが分析・解明を行っている)

こうした事例の他、工場の海外移転が加速化して以降、工場跡地へのマンション建設が増加した。そして、マンション建設前に土壌汚染が発見され、その対策の程度を巡っての争いから、マンションが竣工し、居住開始後に土壌汚染が発見されて開発事業者と争いになったものまで、様々な土壌汚染を巡るマンション紛争がみられた。

また、小さな町工場や個人経営のクリーニング店のような中小・零細事業者が廃業し、土地を不動産事業者等に売却したところ、開発中にその土地から土壌汚染が発見され、購入者から対策費用や損害賠償の支払いを求められるといった事例もある。

こうした事例の場合、先の相続税物納の事例のように、前土地所有者がすでに廃業していることが多く、資力に欠け、対策費用等を求められても支払うことができないということも大きな問題となり、経済産業省の出先機関である地域の経済産業局に多くの相談が寄せられた。(つづく)