これまで関西で黒ラベルが売れなかったのは、おいしさが知られていなかっただけだと齊藤は感じている。まずはバイヤーにおいしさを知ってもらうこと。昨年から期間限定で開いている直営の「サッポロ生ビール黒ラベルザ・パーフェクトビヤガーデン 2016 大阪」は、商談の場にうってつけだ。味も人気の盛り上がりも実感してもらえるからだ。

三田村も黒ラベルは可能性のあるビールだと言う。「僕のイメージでは、新しく攻めていくのはサッポロさんかなと。売りたい気持ちはあるんです。実際、飲んでもおいしいですし」。

事実、平和堂での黒ラベルの売り上げは、15年で前年比37%増、今年上半期はさらに20%増と急伸。同社の店舗でビールを指名買いするお客は3割程度と多くない。残り7割の人たちに黒ラベルを手にしてもらえるか。担当3年目のこれからが、齊藤にとって本当の勝負だ。

(文中敬称略)

サッポロビール社長 尾賀真城氏 「西と東の差が縮まったワケ」

「ビール強化元年」のスローガンの通り、「黒ラベル」「ヱビス」ともに非常に好調です。特に東日本と大きな開きがあった西日本でも伸びているのは、営業や広告・宣伝などで売り場の確保ができ、数も多く置いていただけるようになったからだと思います。

黒ラベルについては、昨年に続いて今年も味のブラッシュアップを行い、お客さまから「おいしくなった」との声が聞かれます。

東京と大阪に「パーフェクトビヤガーデン」を開き、大都市圏では「パーフェクトデイズ」というイベントを行うことで、最高にうまい一杯を飲んでいただく機会も増えました。それがブランドの認知にプラスに働いているように思います。

ただ、シェアを見ると、厳しい面はあります。お酒とタバコはブランドとの絆が強いと言われますが、今後、お客さまとのパイプをさらに太く強固にしていかなくてはならない。今年は創業140周年。酒税法を含めて、変化をチャンスにできるよう勝負していきます。
(矢木隆一(尾賀社長)、森本真哉=撮影 PIXTA=写真)
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