危機に直面したときの冷静かつ大胆な対処、有能な人材を味方に引き入れる人心掌握術、ここぞという場面で一歩も二歩も踏み出す決断力、実行力。三国志には現代社会に通じる知恵が満載だ(この頃、日本は弥生時代だというのに)。

魏・呉・蜀の三国を率いた英傑たちは全くタイプが異なる。「才能があれば親を殺した人物でも登用する」と布告し、軍団の人事改革を進めた合理主義者の曹操(魏)、三代目のボンボンでありながら、古くからの家臣、若手、親族など各方面の助言をバランスよく取り入れた調整型の孫権(呉)。「現代の経営者で言うとこの人かな」と重ね合わせながら、そのエピソードを興味深く読んだ。

個人的に一番魅かれたのは劉備(蜀)である。小説『三国志演義』では、若き日の劉備が、関羽、張飛と義兄弟の誓いをし、生涯その友情を育むが、史実でもその結びつきは強かったらしい。駒ではなく、同志とともに戦った劉備。それゆえ、関羽を失った後は冷静さを失い、滅びの道を歩む。

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