「成長と安定」をあわせ持つ資源国の存在感

<strong>オーストラリア・ニュージーランド銀行 パーソナルバンキング本部長 上西英雄</strong>●1962年、兵庫県生まれ。85年京都大学法学部卒。三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。90年米国ウォートンビジネススクールでMBA取得。05年オーストラリア・ニュージーランド銀行入行。現在、パーソナルバンキング本部長。
オーストラリア・ニュージーランド銀行 パーソナルバンキング本部長 上西英雄●1962年、兵庫県生まれ。85年京都大学法学部卒。三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。90年米国ウォートンビジネススクールでMBA取得。05年オーストラリア・ニュージーランド銀行入行。現在、パーソナルバンキング本部長。
――オーストラリア経済が脚光を浴びています。

もともとオーストラリアは石炭や鉄鉱石、ウランを産出する資源国であり、最近は中国をはじめ成長著しい新興国への輸出が増えています。2000年の輸出相手国は日本が19.8%で1位でしたが、10年になると中国向けが25.3%に伸びて1位になりました。

その一方、途上国とは異なり政治的に安定しているので、国の規制が急に変わったりするようなリスクがありません。つまり、資源国として新興国の成長の果実を得ることができる成長性と先進国の安定性をあわせ持つところが評価されているのだと思います。

また、08年のリーマンショックのときにオーストラリアの銀行はサブプライム関連債券をほとんど保有していなかったため、欧米で発生したような金融危機もなく、経済全体へのダメージが小さかったことも挙げられると思います。

国家財政の健全性の差もあり、オーストラリア国債は、日本国債のAAマイナスを上回るAAAの格付けを受けています。政策金利も先進国としては珍しい4.75%の高金利です。