電卓の「√」(ルート)ボタンを使ったことがあるか。私がセミナーや研修で参加者に尋ねると、使ったことのある人は1割程度だ。

簡単に√の復習をしておこう。同じ数字を2回かけ算することを「2乗する」という。2乗して9になる正の数は、「3×3=9」だから「3」。このように2乗して○になるような数を「○の平方根」と呼び、「√○」と表現する。

では、電卓の「√」の使い方だが、「2乗して9になる数」を求めるときは「9」を押して、次に「√」を1回押せば「3」になる。応用して、「4乗して16になる数」の場合は「16」を押した後に、「√」を2回押すと「2」。「8乗して6561になる数」は「6561」を押して「√」を3回押すと「3」だ。

この「√」の機能が、ビジネスパーソンにどう役立つのか。私の考えは、「平均増加率をざっくり把握するために使う」である。

たとえば、あなたの事業部の売上高が2014~16年の2年間で2倍に増えた(増加率100%)としよう。この増加ペースが続くと仮定した場合、1年後(17年)の売上高は前年比何%増になるか。

この問いに対し、「2年間で2倍に増えた(増加率100%)ということは、1年間ではその半分だから、平均増加率は50%か……」と考えるビジネスパーソンが意外にも多いのだが、これは間違いだ。仮に14年の売上高を100とすると、15年は「100×1.5=150(前年増加率50%)」、16年は「150×1.5=225(前年増加率50%)」となり、2倍以上になってしまう。

正しい解釈はこうだ。14年の売上高を100とし、この2年間の前年比の平均を○とすれば、16年の数字(200)は次のように考えられるはずだ。「100×○×○=200」。つまり「○×○=2」だ。