数字や情報から、物事の本質をとらえるためにはどんな訓練が必要なのか。富士フイルムの戦略と古森会長の言葉から、ビジネスマンが学ぶべきポイントをまとめた。

【1】数字から変化のスピードを読み取れ

会社を取り巻く環境の変化を正しく把握するためには、富士フイルムホールディングス代表 取締役会長兼CEOの古森重隆氏が説くように顕在情報だけでなく、断片情報や沈黙情報を総合して見ることが大切だ。業界のトレンドやテクノロジーの進み具合、競合メーカーの動きに常に目を凝らして先読みし、後れを取らないようにしておきたい。

先読みで意外に難しいのが、変化のスピードだ。富士フイルムを襲ったデジタル化の波は、まず印刷と医療の分野で起きた。本をつくるための製版用フィルムやレントゲンフィルムなどがデジタル化されていった。それに続いて写真フィルム、映画フィルム、マイクロフィルムなど、様々なフィルムがデジタルに置き換わっていくのだが、なかでもカメラのデジタル化は古森会長の予想を超える速さだった。

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富士フイルムの事業構成推移

当初、「デジタルはまだ画質が十分ではなかったので、しばらくはフィルムとデジタルが並行すると思っていた」という。実際、レントゲンや印刷関連のグラフィックアートなどのデジタル化は緩やかだった。ところが、プロやハイアマチュアが好む高級カメラを除き、一般ユーザーが使うカメラは瞬く間にデジタルカメラに変わっていったのだ。変化のスピードは業者向け、専門家向けのカテゴリーより消費者向けのほうがはるかに速いと考えておいたほうがよさそうだ。