書くことで「思考のタネ」がつくられる! 畑村創造工学研究所代表の畑村洋太郎さん、経営コンサルタントの小宮一慶さんが明かす目標具現化への必須テクニックとは――。

毎日欠かさず日記をつけることも、ふたりに共通する習慣だ。ただし、やり方は大きく異なっている。

小宮さんは、18年前から「3年連用日記」に英語で日記を書いている。「まもなく6冊目が終わります。仕事で英語を使わなくなったので、忘れないようにしようと……。それに語彙が少ない分、英語のほうがシンプルに書ける。書くパターンは決まっているし、それほど時間はかかりません。体重と血圧も一緒に記録しますが、その測定を含めて2、3分程度。寝る前に日記を書き、ブログを更新するのが日課です」。

意図的に読み返すことはないが、3年連用なので、昨年や一昨年のものは自然に目に入る。その内容から「お世話になった人に電話をしよう」と思い立ったり、失敗を反省することもあるという。

畑村さんの日記には、事実関係以外にも食べた物、天気、そのときの感情などをなるべく書くようにし、あとから見返したときに記憶が簡単に戻るようにしている。

畑村さんの場合は、30分かけて、じっくりと日記に取り組む。15年以上愛用しているのは、銀座の文具店、伊東屋の1週間の予定が見開きに収まるタイプの手帳だ。

まずは鉛筆で予定を書き入れ、1日の終わりにそれを消して、日記に書き換える。1日分は7行。細かい字で丁寧に書き込んでも230字程度しか入らない。その限られたスペースに、何時にどこに行き、誰と会い、どんな印象を持ったかを詳細に記録しているのだ。

略字なども駆使しているが、起床・就寝時間、天候、食事の内容と感想、犬の散歩のコースまで網羅されていることに驚く。この記述はすべて脳の記憶を引き出すためのキーワード。季節感や味覚など、記憶再生の糸口は人それぞれなので、自分に最適なものを見つけるまでには紆余曲折があったという。

「工夫のかいあって、これを読むだけで、その日の情景が、細部まで再現できるんです。人間の記憶は時系列なので、時間を書き込むことは必須です」