映画「ローマの休日」で有名な女優オードリー・ヘプバーンは、いまなお輝きを放つ不滅の美人女優である。また、ハリウッドスターからモナコ王妃になったグレース・ケリーや、悲劇の女優マリリン・モンロー、さらには「微笑みのシンボル」といえるレオナルド・ダビンチの名画「モナリザ」は、いずれも人々を惹きつける美人だ。
彼女たちの顔には、実は1つの共通点がある。それは、眉と唇の口角を結んだ2本の線がつくる角度が45度であるということだ。
この45度を、私は「美人角」と呼んでいる。そして、美人角は「正方形」と「白銀比」(1対√2)に関係しているのである。
日本の建築は、丸太を正方形の角材に加工した材木が使われる。最もムダが少なく、梁の強度が大きくなる断面が、正方形の特徴だ。
その角材を使ってつくられる茶室には、多くの正方形が見られる。畳の配置、炉、座布団、ふすま、障子など、すべて静寂をつくり出すために選ばれた正方形だ。正方形は、日本文化の象徴である茶室の様式美といえる。ムダを徹底的に排した形である正方形のなかで、合理的な茶道具の配置と所作がデザインされた世界。それが茶道なのだ。
一方、45度は正方形に対角線を引くことで現れる角度だ。正方形の1辺と対角線がなす角度が45度である。
伝統芸能の1つである能は、その舞台が正方形であることが重要とされる。能の主人公を演じるシテは、正方形の舞台上で常に対角線方向の動きを意識しているそうだ。つまり、幽玄の世界である能では、45度の方向が意識されているということだ。