次に白銀比だが、正方形を対角線で半分に折った直角二等辺三角形には、白銀比が現れる。二等辺をそれぞれ「1」とすると、斜辺は√2(1.414……)だ。
この直角二等辺三角形を半分に折ると、同じ形(相似)の直角二等辺三角形ができる。同様に繰り返して半分に折っていくと、次々に直角二等辺三角形が生まれる。つまり、無限に相似がつくり出されるのだ(実際の紙で折る場合は限界があるが……)。
このように、45度は正方形と白銀比を連想させ、さらには無限の相似へと結びつく角度なのだ。もしかすると、茶の湯の世界を確立した千利休は45度の秘密に気づいていたのかもしれない。
女性の顔に現れる美人角は、正方形と白銀比を連想させ、ムダのない美しさに通じる。同時に、45度のラインは、直角二等辺三角形から無限に続く相似を連想させる。おそらく、45度は潜在的に私たちの美意識に訴えかける角度なのではないか。日本人は45度を見ることにより、無限に対する「美」、永遠に対する「美」というものを感じ取っているのかもしれない。これが、私が仮説を立てた「美人角45度」の秘密である。
さて、女性の読者(男性の場合は奥さんや彼女)には、この機会に自分の顔写真を真正面から撮り、2本のラインを引いて角度を測ってみていただきたい。美人角でなかったとしてもご安心を。45度に近い角度であれば、メークで眉のラインが調整可能だ。ぜひ「美人角」を実践していただきたい。
(構成=田之上 信 写真=AFLO)