「比例式」についてご説明したい。小学校のお子さんがいる方なら「子どもにどう教えるか」という観点から読んでいただくのもよいだろう。
比例式とは、「A:B=C:D」のように、比が等しいことを表した式をいう。
比例式には、「内項(BとC)の積と外項(AとD)の積は等しい」という性質がある。つまり、「A:B=C:Dのとき、B×C=A×D」という公式が成り立つ。実例として「5:4=10:8」で確かめてみると、「内項の積は4×10=40、外項の積は5×8=40」で確かに等しい。
ちなみに比例式の「内項の積と外項の積は等しい」という性質は、公立小学校の教科書には載っていない(中学1年生の教科書に載っている)。しかし、小学生でも簡単に理解できるので、小学生のお子さんがいる方は、この性質を教えてあげるとよいだろう。
たとえば、「2:5=□:7」のような問題が公立小学校のテストにも出題される。これを解くには、「等しい比の性質」を使う。
等しい比には2つの性質がある。A:Bのとき、AとBに同じ数をかけても、同じ数で割っても、比は等しい。たとえば、「3:2」にそれぞれ「5」をかけると「15:10」になる。「8:12」をそれぞれ「4」で割ると「2:3」になる。
したがって、「7÷5=1.4」なので、5を1.4倍すると7になる。同じように、2を1.4倍して、□は「2×1.4=2.8」とわかる。
しかし、ここで比例式の性質を知っていれば、内項の積と外項の積は等しくなるので、「2×7=14」だから、「14÷5=2.8」と答えを出せる。このほうが小学生には理解しやすい。どちらの解き方も使えるようになれば、テストなどでより力を発揮できるだろう。
ちなみに、内項の積と外項の積はなぜ等しいのか、読者の方々は理由をご存じだろうか。せっかくなので説明しておきたい。
「A:B=C:Dのとき、A:BとC:Dの比の値は等しいから、A/B=C/Dとなる。両辺にB×Dをかけると、A/B×B×D=C/D×B×Dとなり、A×D=B×Cとなる。したがって比例式の内項の積と外項の積は等しくなる」
では、次の問題にトライしてみてほしい。
「A社とB社の営業利益の比は5:8である。A社の営業利益が12億円のとき、B社の営業利益はいくらか?」
解き方は2つある。等しい比の性質を利用したものと、内項の積と外項の積は等しいという性質を使ったものだ。
まず、「5:8=12:□」とおく。前者の性質を使うと、「12÷5=2.4」だから、「8×2.4=19.2」(19億2000万円)となる。一方、後者の性質を使うと、「8×12=96」だから、「96÷5=19.2」(19億2000万円)となる。
どちらの性質を使ったほうが簡単に解けるかは、問題によって変わってくる。だから、どちらがベストな解き方ということではなく、両方の解き方を知っておくとよいだろう。