軽口を叩いただけ、部下が不祥事を起こしただけ、疑われただけで、懲戒処分が下されることがある! ここでは最新の傾向と自己防衛術を紹介しよう。

非がないのに解雇は日常的に行われている

日本は法律的には非常に解雇しづらい国なのだが、実際には中小企業を中心にばんばん解雇が行われている。正社員であれば、そこまで簡単に解雇できないものの、会社は様々なやり方を駆使してくる。自己都合退職の場合、失業保険は通常約3カ月の待機期間があるが、会社都合ならすぐに給付が開始されることが多い。それをちらつかせて退職を勧めるのだ。あるいはそれに傷病手当金を組み合わせて、大した病気でもないのに半年ぐらい傷病手当金の給付が受けられるようにするパターンも。

最近の労働争議でよく利用されるのが手短に解決できる労働審判制度だ。大きな裁量権が裁判所に認められており、「復職は難しそうだから100万円で手打ちに」など柔軟な和解案が提示される。

このように日本の社会ではひとたび会社に目をつけられれば解雇されるのは容易なのだ。あなたのクビは会社にとってはお金で解決できるコストの問題にすぎない。たった100万円で職を失うこともある。そこでケースごとに未然に防ぐ方法、実際に起きたときの最善の方法を伝授しよう。

あなたの発言はすべて録音されている!

たかの友梨ビューティクリニックの高野友梨社長が「私を好いて、私を信じて、ついてきてください」というファクスを全店に送付したということで話題になっている。組合活動をしていることを理由にパワハラを受けたという従業員が、録音した高野社長の声を公開したことでも騒がれた。ブラック発言問題がこれだけ世で騒がれるのは、オフレコ時代が終焉したということだ。今はスマートフォンでも録音ができる。私も対外交渉するときに録音されて困るようなことは絶対に言わないようにしている。そんな時代なので、被害者が弁護士に相談すると、証拠を集めるために録音するように言われる。相手に「どういうつもりだ」と詰め寄られたりしたら、それは間違いなく録音されていると考えたほうがいい。

ここでもし、うかつな発言をすれば余計な証拠を与えてしまう。