「モノが売れない時代」と言われて久しい。だが、そうした状況でも、値下げ競争に陥らず、高額商品を多くの人に売って成功する方法がある。

今やSNSを使ったマーケティングは珍しいものではない。しかし、流行に乗ってフェイスブックやツイッターなどを活用したものの、効果をいまいち実感できないと嘆いている企業は少なくない。私は、ソーシャルメディアはマーケティングに十分に使えると考えている。効果が上がらないとしたら、それは目的からズレた使い方をしているからである。

消費者が購買に至るプロセスとして有名なのが「AIDMA」モデルだ。これは、まず消費者の注意(Attention)を引き、関心(Interest)を持ってもらい、欲しいという欲求(Desire)を起こさせ、商品を記憶(Memory)してもらい、実際に購買行動(Action)に移させるプロセスを指す。

同じようなモデルに「AISAS」がある。これはネット普及後の購買プロセスを示したモデルだ。注意、関心までは同じで、以下、商品を検索(Search)させ、購買行動(Action)を起こさせ、感想をみんなで共有(Share)してもらい、それがまたサーチにつながり連鎖するという流れになる。

それぞれのプロセスに合ったメディアについて説明しよう。注意や関心のプロセスで有効なのは、テレビや新聞などマスメディア広告や、近年急成長しているインターネット広告だ。マスに向けた広告で関心を持ってもらえたら、次はSEO(検索上位に表示させる)対策やリスティング広告(検索ワードに連動して表示される広告)を行い、自社のサイトに誘導する。

自社サイトでは顧客に買いたい欲求を持たせる仕掛けが必要になるが、今はブロードバンド時代だから、ユーチューブと連携させて、実際に商品を利用しているシーンを見せるといったやり方もおもしろいだろう。

そこから購買行動に踏み切らせるには、あと一押しの仕掛けが大切だ。たとえばポイントサービスをからめたり、店頭ならばPOPでアピールするのもいいだろう。

従来は消費者が買ったところでプロセスも終わっていたが、近年は買って使った経験をシェアするというプロセスが加わった。それに相応しいのがソーシャルメディアだ。