不振の理由を探る、顧客を分析する、効果的に販促する……。そんなとき、情報のプロたちは何をするか。2014年、データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤーに輝いたJALの渋谷直正氏をはじめ3人が、そのワザを明かしてくれた。

消費者心理を掴み、それを分析で実証する。分析の結果から、より詳しく消費者心理が分かるようになり、それをさらなる分析に生かす――。このサイクルを回して有用な分析結果が得られたら、いよいよそれを販促に生かすことが必要になる。

JALは、分析により「女子旅@海外」の潜在的な顧客を掴み、「女子旅の利用者はこういう人」というペルソナを作成した。そして、そのペルソナに合致するWebページの利用者に、専用のバナーを表示するようにした。この結果、バナーをペルソナに向けて打った場合の売り上げは、ペルソナでない人に向けてバナーを打った場合の10倍に達したという。

バナー広告の表示は適切に行えば大きな効果を生むが、失敗するとマイナスに作用することもあるという。

「例えば、中年男性に女子旅のバナーを表示してしまったような場合、全く売れないだけでなく、『欲しくない商品を勧めてくるサイト』という悪い印象を持たれるおそれもある」(JAL Web販売部1to1マーケティンググループ 渋谷直正氏)。多くの商品を効果的に販売するには、JALのように顧客を属性に応じて細かく分け、バナー表示を使い分けるなど、適切なアプローチを行う必要があるのだ。

花王は漂白剤「ワイドハイターEXパワー」の併買分析の結果から、ある事実に気づいた。それは、消臭効果を持つワイドハイターEXパワーが、消臭系の洗剤や柔軟剤とは併買されることが多い一方で、芳香系の柔軟剤とも併買されている、という予想外の結果だった。

(左)JAL Web販売部1to1マーケティンググループ 渋谷直正氏(右) 花王 デジタルビジネスマネジメント室 永良 裕氏、佐藤満紀氏

その理由を調査したところ、消費者の間で、「漂白剤は、芳香系の柔軟剤と効果を打ち消し合ってしまうから、一緒に使うべきでない」という考えが広まっていることがわかった。これは誤解で、「ワイドハイターEXパワーは本来、芳香系柔軟剤と一緒に使うと、香りを引き立てる効果がある」(花王 デジタルビジネスマネジメント室 佐藤満紀氏)。

そこで花王はワイドハイターEXパワーのCMに「柔軟剤の香り引き立つ」という言葉を入れ、新しいキャンペーンを展開した。その結果、商品自体は同じ物にもかかわらずワイドハイターEXパワーの12年度の売り上げは、発売初年度の08年に比べておよそ3倍に増加した。