「モノが売れない時代」と言われて久しい。だが、そうした状況でも、値下げ競争に陥らず、高額商品を多くの人に売って成功する方法がある。

「売ったらおしまい」、あるいは「売ることをゴール」と考えて、あなたはビジネスをしていないだろうか。そうした発想では、運よく一度は売れても、顧客が継続的に買ってくれることは難しいだろう。また、日用品やファストフードのような単価の安いものは売れても、クルマや家、宝飾品のような高額品はなかなか売れないままだろう。

いい接客で顧客は高い満足を期待する

売るのをゴールにするのではなく、「買ってもらってからがスタート」と考える発想の転換が重要だ。言い換えると、自社の商品を提供することで顧客に感動を与え、自社のファンになってもらうことを最終的なゴールにするのだ。自社のファンになった顧客は、高くても、継続して何度も購入してくれるからだ。

顧客に感動を与える具体的な方法は、商品の価値を高めるのは当然として、顧客がその商品を購入して、使うまでの一連の「時間」の価値を高めることを強く意識することに尽きる。この「時間価値」を高めることが、高単価、継続購入につながるからだ。

顧客に高い時間価値を感じさせるために重要なのは接客だ。いい接客は、「その商品を購入すると、高い時間価値を得られるぞ」と顧客に想像、予感させることに直結するからだ。

成功事例の一つに、トヨタ自動車のレクサスのディーラー(販売店)がある。ここでは、時間価値を高める場づくりが徹底している。顧客はショールームに入った瞬間から、ラグジュアリーカー・ブランドのサービスを受けられる。レクサスのディーラーは、創業時に一流ホテルチェーンであるザ・リッツ・カールトンにサービスを学んだ折り紙付き。顧客は高度な「おもてなし」を受けることで、購入後もすばらしいサービスを受けられると期待し、「レクサスがある暮らし」をイメージできる。