好きな仕事を与えてやる気を起こさせる

堅実なパフォーマーをうまく操縦するということは、「つまりは彼らの得意なことを見つけて、それぞれの社員に適切な仕事を与えるということだ」と、組織心理学を専門とするグローバル・コンサルティング会社、YSCアメリカズの社長、アンディ・ホートンは言う。

シスコシステムズの人材戦略・幹部養成担当副社長、アンマリー・ニールは、長年勤めている特定分野の専門家で、彼女が「驚異的な社員」と評する人物の例を挙げる。この社員は、頻繁な転勤や、長時間労働はやりたがらない。彼女のやる気を持続させ、力を引き出し続けるために、ニールは、彼女が最もおもしろいと思うタイプの仕事を与えるようにしている。

「大きな昇進を与えることでやる気を起こさせようとしたのでは、彼女は力をフルに発揮できないだろうし、楽しくもないだろう」と、ニールは言う。結果、彼女は上級リーダーへの幹部コーチングの提供から会社の幹部評価手順の設計・実施まで、あらゆることで会社のために役立ってきた。

Bクラス社員は、基本的に、華々しい成果を挙げることはめったになく、Aクラス社員に与えられるような賞賛に近いものすらめったに受けることはない。だが、彼らもやはり賞賛を与えられる必要がある。

デロングはある法律事務所のアソシエイトの例を紹介する。そのアソシエイトは辞表を出す寸前だったのだが、マネジング・パートナーが廊下で彼を呼び止めて、彼のやった仕事を褒めてくれたことで、その事務所に残ることに決めたという。デロングは、こうしたアプローチを実際に採用しているCEOの例も紹介する。このCEOは毎週、これまでないがしろにしてきたと思う社員2人に対して、彼らの仕事ぶりを讃える電子メールを送っている。