就活は「計測不能で不確実な実験」

大手企業の役員候補の評価試験・面接を請け負っている外資系人事コンサルティング会社では、経営人材候補のポテンシャルとして「洞察力」「好奇心」「胆力」など複数の能力を指標にしている。

洞察力は物事を深く考えることができる力、好奇心は新しいことに自発的に学び続ける力、胆力は困難な状況や限られた情報・時間の中で決めきる力――を意味する。

面談やグループワークなど独自の手法で見極めていくが、ハイポテンシャルと評価される人はごく少数にすぎない。同社の幹部はこう指摘する。

「これまで多くの企業の役員候補者と言われる人を計測してきたが、1万人規模の会社でも会社が候補に挙げた100人の部長のうちハイポテンシャルの人は10人もいなかった。ちなみに現役の役員も調べたことがあるが、ハイポテンシャルな人は半分以下だった。また、新卒の幹部候補と言われる人の調査を依頼されたこともあるが、こちらは見極める材料が不足しているので確度は低いが、それでも新卒100人のうち1人しか2人ぐらいしかいなかった。これは日本人に限らず外国人でも同じだ」

新卒に限らず、仕事の経験や実績をウォッチしている会社ですらも社員のポテンシャルを見極めることができないでいるのだ。就職試験は、まさにそんな計測不能な不確実な状態の中で行われているのだ。

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