大手の人事は中小・ベンチャーより格が下?
では、採用能力に長けている人事担当者とはどういう人なのか。
採用能力とは自社が求める人材像に合致し、会社に貢献する人材を見極めることができる能力のことである。たとえば、大手企業の採用担当者が中小・ベンチャー企業の担当者より優れていると思いがちであるが、必ずしもそうではない。
逆に大手企業の採用担当者は志望する学生が多いために能力や専門性が求められることはないと指摘するのはITベンチャー企業の人事部長だ。
「(大手企業は)多くの学生を採用しなければいけないので、いかに学生を集めるかを重視している。また、選考基準も(1)偏差値の高い大学(地頭力、論理的思考があると見なす)、(2)コミュニケーション力、(3)リーダーシップなどといった極めて曖昧なものだ。大手企業の採用担当者は、大企業だからたまたま上位校の学生を獲得できるかもしれないが、中小企業やベンチャー企業の担当はとても務まらないだろう」
じつは新卒人材の能力を見極めるのは非常に難しい。
中途採用の場合は企業が求めるスキル・知識が明確であり、過去の経験や実績から導かれる「協働能力」「変革力」といった行動特性(コンピテンシー)を軸に選考する。
だが、新卒はスキル・知識もなければ、職業経験に裏付けられたコンピテンシーを計ることもできない。せいぜい学生時代の勉強、サークル活動、アルバイト経験からコンピテンシーを推し量るしかないが、中途採用に比べてその精度が落ちるのは間違いない。