面接通過は「可もなく不可もない学生」

新卒はポテンシャル(潜在能力)採用だとよく言われる。また、共通する選考基準として人事担当者は「伸びしろがあるかないか」をよく口にする。

感覚的にはわかるが、とても曖昧な表現だ。

本当にポテンシャルを見抜ける人がいるかといえば、一説には経験豊富な人事担当者の中でも100人に1人か2人と言われるぐらいに超難度の世界だ。

食品会社の人事部長はこう告白する。

「正直言って会社で将来活躍する人材を見極めるのは難しい。1次、2次面接は現場の若手社員や課長クラスに任せているが、人事部が作成した評価シートを持たせて○×を付けさせている。しかし、3次面接に上がってくるのは、可もなく不可もない無難な学生が多い。リーダーシップや変革力に○がついていても本当にそうかと疑いたくなる学生もいる。とくに採用数が少ない年ほど無難な学生が多い。こっちは少数精鋭でよく吟味したつもりでも、入社後に活躍する人は少ない。逆に採用数が多い年は、ちょっと協調性は足りないが、おもしろそうな学生だと思って採ることもあるが、じつはその中から大化けして活躍する人がいる。毎年採用手法を検討しているが、これだと思う手法を見つけ出せないのが現実だ」

昔に比べて企業が求める人材像は明確になりつつある。ビジネスモデルや企業環境が激変する中で「イノベーション人材」や「多様性対応力を持つ人」といった人材像が飛び交っている。

しかし、実際にそうした人材をどのようにすれば見極められるのか、決定的な解決策がないのが実態だ。

そもそも企業での活躍が期待されるポテンシャルを見抜くことは入社後の20~30代社員や管理職であっても難しいという。