昼寝は午後の仕事や家事の効率を上げる、と言われている。医師の谷本哲也さんは「最新の調査によって、何分寝たかよりも昼寝をする時間帯が重要であることがわかった。」という――。
どんな昼寝でも体にいいのか?
「昼寝は体にいい」。そう聞く機会が増えました。たしかに、昼食後に10〜20分ほど目を閉じることは、眠気を軽くし、集中力を取り戻すのに有効です。短い昼寝は、午後の仕事や家事の効率を上げる、いわば脳の再起動です。
しかし、最近の研究で見えてきたのは、昼寝は「長さ」だけで評価できないということです。何分寝たかよりも、いつ寝たか、何回寝たか、以前より増えていないかが重要です。
最近の医学研究の中で、注意すべきとして話題となっているのが「午前中の昼寝」です。昼食後に少し眠くなるのは自然な反応です。ところが、朝起きて間もないのに眠い、午前中の電車や会議で寝落ちする、朝食後すぐ横になりたくなる。こうした眠気は、単なる疲労ではなく、体の異変を知らせるサインかもしれません。
危ないのは「午前中の昼寝」
2026年4月に米国医師会の系列誌に掲載された研究では、平均年齢約80歳の高齢者1338人を対象に活動量計で昼寝のパターンが測定され、その後の死亡リスクとの関連が調べられました[出典1]。対象者は最大19年間追跡されています。
結果はかなり印象的でした。1日の昼寝時間が1時間長くなるごとに総死亡リスクは13%高く、昼寝の回数が1回増えるごとに7%高いという関連が観察されました。さらに、午前中から昼前、つまりおおむね午前9時から午後1時ごろに昼寝をする人では、午後早めから昼寝をする人と比べ、総死亡リスクが30%高いという結果でした。
ここで重要なのは、午前中に昼寝をすると寿命が縮むという単純な話ではないことです。研究が示しているのは、午前中から眠くなる人では、すでに体の中に何らかの問題が隠れている可能性があるということです。つまり、昼寝が病気をつくるというより、病気や老化の変化が午前中の昼寝として表に出ているのです。

