意図せず昼寝してしまう原因
昼寝が増える背景にはさまざまな原因があります。前述した睡眠時無呼吸症候群や認知症のほか、夜間睡眠の不足、心不全、不整脈、糖尿病、甲状腺機能低下症、うつ病なども考えられます。
薬の影響も見逃せません。睡眠薬、抗不安薬、抗アレルギー薬、一部の痛み止め、血圧の薬、精神科の薬などは、日中の眠気を強めることがあります。高齢者では複数の薬を飲んでいることも多く、薬の組み合わせで眠気が強くなることもあります。
意外かもしれませんが、「昼寝が増えた」という変化は、検査値より早く表れる体調変化のサインになることがあります。血糖が乱れている、心臓の働きが落ちている、夜間に呼吸が止まっている、脳の覚醒リズムが乱れている。
こうした変化が、日中の眠気として表に出るのです。ですから、意図しないのに寝てしまう危険な昼寝を見つけたときに大切なのは、「昼寝を我慢すること」ではありません。なぜ眠くなるのかを考えることです。
正しい昼寝のしかた
では、どのような昼寝ならよいのでしょうか。基本は、昼食後から午後早め、できれば午後1時から3時ごろまでに、10〜20分程度にとどめることです。長くても30分以内が目安です。昼寝前は部屋を暗くしすぎず、横になりすぎないことも大切です。ベッドに入ると深く眠りすぎるため、椅子やソファで軽く休む程度がよいでしょう。
また、ちょっとした工夫もあります。代表的なのが「コーヒーナップ」です。昼寝の直前にコーヒーを飲み、15〜20分だけ眠る方法です。カフェインは飲んですぐ効くのではなく、効き始めるまでに少し時間がかかるため、目覚める頃に眠気を抑えやすくなります。
ただし、夕方以降は夜の睡眠を悪くするため避けます。完全に熟睡するより、「目を閉じて休む」だけでも脳の疲労感は軽くなります。眠れなかったから失敗、ではありません。短く切り上げること自体が、よい昼寝のコツです。
避けたい昼寝の時間帯
避けたいのは、午前中からの昼寝、1日に何度も繰り返す昼寝、1回1時間を超える昼寝、夕方以降の昼寝です。特に「昼寝をしないと生活できない」「仕事中や運転中に眠気が出る」「以前より明らかに昼寝が増えた」という場合は、医療機関で相談したほうがよいサインです。
繰り返しになりますが、朝から眠い昼寝、何度も繰り返す昼寝、急に増えた昼寝は、体からの警告です。あぶない昼寝は、夜の睡眠、呼吸、心臓、血糖、脳の変化を知らせているかもしれません。
大事なのは、昼寝を禁止することではありません。「なぜ眠くなるのか」を見逃さないことです。一方で、昼寝は必ずしも健康の敵ではありません。短く、早い午後に、目的を持って使えば、集中力を取り戻す頼れる味方と知って活用して頂ければと思います。
出典
[出典1]JAMA Network Open, 2026.
[出典2]European Respiratory Journal Open Research, 2020.
[出典3]Alzheimer’s & Dementia, 2022.
[出典4]Communications Medicine, 2025.


