電車の居眠りサイン
日中の眠気は、本人が思う以上に危険なサインです。たとえば、
・電車で座った瞬間に寝落ちする
・会議中に何度も意識が飛ぶ
・信号待ちで眠気が出る
・休日に何度も昼寝をする
こうした状態を疲れているだけと片づけてはいけません。
特に見逃したくないのが睡眠時無呼吸症候群です。これは、眠っている間に気道が狭くなったり塞がったりして、呼吸が何度も止まる病気です。本人は寝ているつもりでも、実際には低酸素と短い覚醒を繰り返しており、睡眠の質は大きく損なわれています。
典型的な症状は、大きないびき、睡眠中に息が止まると指摘される、朝の頭痛、口の渇き、日中の強い眠気です。肥満の人に多い病気ですが、やせていても起こります。あごが小さい人、首が太い人、飲酒量が多い人、加齢でのどの筋力が落ちた人でも注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群は眠いだけの病気ではありません。2020年発表の研究によると、重症例では総死亡リスク約1.9倍、心血管死亡リスク約2.65倍と関連すると報告されています[出典2]。
この病気は、高血圧、心房細動、心不全、脳卒中、糖尿病、交通事故とも関係します。「7時間寝ているのに眠い」「朝から眠い」「いびきを指摘される」「血圧や血糖が高い」。このような人は、昼寝を減らす前に、医療機関で相談して夜の睡眠の質を調べることが推奨されます。
認知症と昼寝の関係
昼寝の変化は、脳の老化とも関係します。2022年に認知症専門誌に掲載された研究では、高齢者の昼寝習慣が活動量計で長期に追跡され、アルツハイマー型認知症との関連を調べられました[出典3]。
その結果、昼寝が長い人、昼寝の回数が多い人では、その後にアルツハイマー型認知症を発症するリスクが高い傾向が示されました。昼寝をしない人と比べて発症リスクが約40%高く、また、1日に少なくとも1回昼寝をする人も、昼寝をしない人と比べて同じく発症リスクが約40%高いという結果でした。ただし、これも「昼寝をすると認知症になる」という意味ではありません。むしろ、脳の変化によって夜間睡眠が乱れ、昼間の覚醒を保ちにくくなり、その結果として昼寝が増えると考えるほうが自然です。
さらに2025年の研究では、午前中の昼寝が多い人ではアルツハイマー型認知症リスクが高い一方、早い午後の昼寝は認知症の原因の一つと目される脳内アミロイドβの少なさと関連する可能性が示されました[出典4]。ここでもポイントは、昼寝は一律に悪いのではなく、「時間帯」と「パターン」が重要だということです。
高齢の家族で、朝からソファで寝るようになった、テレビを見ながら何度も寝落ちする、昼夜逆転気味になった、急に昼寝が増えた。こうした変化があれば、年のせいだけで済ませないほうがよいでしょう。

