世の中には、絶対権力者と呼ぶべき存在がいる。
中国における各王朝の皇帝はその典型だし、現代でも企業のワンマン社長などは、この部類に入るだろう。
では、こうした統治形態の組織では、皇帝や社長の許しがなければ、一切権力は握れないのだろうか。ところが、ここには面白い抜け道があるのだ。
その1つが、「絶対権力へのアクセス権」。
たとえば、ワンマン社長が、自分のスケジュール管理を秘書に一手に任せていたとしよう。しかもそれが高じて、社長への面会や決裁が、秘書の胸先三寸で決まるようになったとする。こうなると、秘書はそこで絶大な権力を手にできてしまう。
しかも社長が秘書を信用して、社員の評価まで参考にし始めたとしよう。
いわば絶対権力者への「影響力」を持ち併せた形になるが、こうなれば社長に匹敵する力を握ることになる。
なにせ「あいつは良いですよ、昇進させましょう」「見込みありませんよ、切りましょう」といった秘書の一言で、評価が決まってしまうのだから……。
しかも、こうした「アクセス権」や「影響力」は、往々にして絶対権力者当人には気づかれにくい面がある。本人にしてみれば、たかがスケジュール管理を任せ、ちょっと意見を聞いているだけに過ぎないからだ。