マスコミ報道を見聞する限り、新築マンションの販売価格は今年も下落基調にあるので、「購入は慎重に」と勧める意見が多い。だが、私の考えは異なる。首都圏全域のマンションを見て回ると、今年の年初から3月にかけて、絶好の購入チャンスが訪れると思う。

その理由の1つとして、3月までの今年度内は、「高品質の物件が割安価格で買える」こと。住宅業界では、売れ残った在庫を3月決算までに一掃する動きが加速。赤字覚悟の“損切り”となり、購入者にとって質の高い物件をより安く手に入れられるバーゲンシーズンとなる。

来年度の4月以降も価格水準は低いまま推移するだろうが、市場低迷が続くことを前提にすると、物件の質は変わる。新年度から分譲されるマンションは、低価格でも利益が出るよう、あらかじめコストを削減した物件をつくらざるをえないからだ。

具体的には、床材や壁紙などの内装材や設備のランクを落としたり、同じ3LDKでも平方メートル数を減少させたタイプのマンションが増えるだろう。無論、耐震性の問題や見た目に著しい差異があるわけではないので、いわば“ユニクロ物件”とでも言うべきか。価格帯は今より1割程度下がるだろうが、クオリティから言えば、今年度内販売分のほうがお買い得感は高い。

すでに、そうした割安度に注目する購入者も増えており、昨年11月半ばから12月にかけては、契約率が上昇するマンションも出ている。いい物件は動きが早いため、今年2月ぐらいまでに購入を決める覚悟で臨んだほうがいいだろう。

なかでも昨年3月までに竣工した物件で売れ残っているマンションは、狙い目といえる。築1年たった在庫マンションは、いったん不動産会社の名義で登記する必要があり、登記すると中古物件となる。業者は値崩れの早い中古物件化を嫌い、なりふり構わず大幅にディスカウントして売ろうとするだろう。こうした大幅値引きだけでなく、照明やカーテンなど、内装の“おまけ”も期待できる。