新築マンションの販売不振が深刻さを増している。
不動産経済研究所の発表によると、新築マンションの販売在庫は1万1085戸(2008年11月末時点)。前年同月比で約28%の増加だが、実際の在庫数は、私の実感としてはその倍以上と思われる。現場では在庫を処分しようと、数百万円単位の値引きが横行しており、さらなる価格崩壊と底値を見極めたい購入希望者の模様眺めを招いている。
市場低迷を受け、政府・与党は最大控除額600万円という大型住宅ローン減税策を発表。住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」の金利優遇制度拡充や返済期間を従来の最長35年から50年に長期化する「フラット50」の創設も打ち出している。
しかし、これら控除や優遇の対象となるのは、建物の耐久性や省エネ性に優れたイニシャルコストの高い高性能住宅に限られ、実質的な支払い負担は、ほとんど軽減されないはず。つまり市場活性化への効果は限定的で、購入を迷う消費者の背中を押す程度だろう。むしろ景気減速感は広がるばかりで、市況回復には2~3年かかるのではないかと思う。
今後の価格動向としては、住宅価格が低迷を続けた01~03年の価格帯が底値ラインになると見る。3LDKなら東京23区内で3000万円台後半~4000万円台前半、郊外3000万~3500万円ぐらいの水準だ。買うタイミングをはかるという意味では、まだまだ価格の下落余地は大きい。