マンションのバーゲンセールが終盤戦を迎えている。割安物件を手に入れるチャンスにも見えるが、甘い見込みで買い急ぐと、いずれ住宅ローン破綻に追い込まれかねない。

破綻はまさに突然やってくる。昇給を前提にローンを組んでいたのが、景気悪化で収入が激減。そこに子供の教育費の上昇などが追い討ちをかけ、破綻に追い込まれるケースがほとんどである。

実は、本人にとって「突然」であっても、購入する前から兆候は出ているものだ。まず気をつけなくてはならないのは、数千万単位のお金が動くため、金銭感覚が麻痺して体力に見合わない物件を購入、契約してしまうこと。私が相談を受けた例でも、100万円程度の頭金さえ用意できていない人が、「たった150万円の差で、最上階の角部屋に住める」「あと100万円出せばキッチンをグレードアップできる」などと、売る側のトークをそのまま口にしたりする。「欲しい」という気持ちが先行し、それを遮るような要素は目に入らなくなっているのだ。

さらに恐ろしいのは、「持ち家=資産」という成功体験を持った両親、特に妻の実家の圧力だ。「男は家を買って一人前」などと言われ、体力以上の物件の契約書に判を押してしまう。なかには、妻の父が無断で高額物件を契約、頭金だけを払われて、借金のみが残ったケースもある。

地価が右肩上がりで上昇する時代は終わり、ほとんどの不動産は消耗品となっている。それでも購入すべきかを考えたうえで、本当に割安な物件を探すべきだ。

特に新築購入には慎重になるべき。新築は購入してから10年で最も価格が下落する。この間転勤などでやむをえず賃貸や売却に出さざるをえなくなった場合、資産価値の下落で思ったような価格で貸したり売ったりできず、ローンだけが残るという悲劇に見舞われることも多い。