2001年、導入された日本版401k(確定拠出年金)の加入者数が、昨年10月に300万人を突破した。企業の年金負担を減らし、従業員に自己責任で老後資金を形成させるという思惑から始まったこの制度。掛け金を企業が負担し、貯蓄、保険などの元本保証型商品から、債券、株式などのリスク型商品を個人が選択、運用成績に応じて将来受け取る年金額が変わってくるという仕組みだ。
しかし、株価下落や為替変動の影響で多くのリスク型商品は元本割れに。もともと運用経験が乏しい加入者は選択商品が預貯金や保険などに偏重しがちだったが、ここにきて、さらに元本確保型商品に移行する傾向が強まっている。
ただ、加入者側の最大のメリットは、運用期間中の利益が非課税扱いになる点で、本来は積極的にリスクを取った運用で利益を再投資し複利効果を享受するべきなのだ。長期的な資産形成という特徴からも、目先の相場低迷で元本確保型に移行することはお勧めできない。むしろ、これまで元本確保型のみを選択していた人は、長期的に相場が回復軌道にのる可能性を考えると、リスク商品への移行を考えるチャンスといえる。
運用には、相場の動きを読むことが必要となってくるが、まずは株式の需給関係(買いと売りのどちらが優勢か)を把握することが肝要だ。参考にしてほしい指標は、「投資主体別売買動向」である。これは、個人投資家や外国人投資家、信託銀行などマーケット参加者別の売買状況を示す指標で、東京証券取引所のホームページで公開されているほか、毎週金曜日の日経新聞マーケット欄でも確認できる。401k運用の参考になるのは、年金資金の運用を預託されている信託銀行の動きだ。実際、昨年後半からのデータを見ると「信託銀行買い」が続行。例えば、3月6日付のデータによると、外国人投資家が7週連続売りに回っているのに対し、信託銀行は8週連続で日本株式を買い越していることがわかる。