目先の市場動向は、トレンドを追って短期に売買する傾向が強い外国人投資家の動きに左右されやすい。しかし、10~30年後の年金資産運用を考えるなら、長期スパンで運用を手がける信託銀行の動きにこそ注目すべきだろう。

こうした動向を一通り踏まえたうえで、実際のポートフォリオをどう組むか考える。前述の指標と、現在の金利水準を考えれば、6~7割程度はリスク商品に振り向けたほうがいいだろう。もちろん7割というのはひとつの目安で、年齢や資産状況、現在保有している金融商品によっても変わってくる。

40代前半くらいまでなら100%リスク型商品で長期運用するくらいでもかまわない。だが、定年が見えてくる50代となると、ここであえて大きなリスクを取るのは避けたほうがよい。これまで元本保証型できた人はそのままか、2~3割程度をリスク商品に振り向ける。また、個人で金融商品を保有している場合は、それとは別の商品を選ぶことで分散投資を心がけたい。

一度組んだポートフォリオは、そのままにせず、せめて年に1回程度は見直そう。1年も経てば、相場変動によって運用成績が大きく変わることがある。価格が上がった商品の割合を減らし、下落した商品を増やすなど、割合を元の水準に戻す「リバランス」を実施してほしい。

日本版401kは、60歳まで受け取ることができないため、受給資格が発生した時点の相場が気になるところだ。が、実際は、資格発生時から10年間受給を引き延ばすことができる。60歳の退職時点ですべて売却して「退職金」として受け取るか、少しずつ分割して「年金」として受け取るかを選択できるのだ。相場や資産状況を考えながら、有利な受け取り方法を選ぶことが肝心である。

(構成=大沢玲子)