では、いくらであれば本当に割安なのか。それを見極めるために私が勧めているのが、家賃という市場価格を使って、物件の“収益還元率”を見積もる方法だ。これは対象不動産が生み出す収益を、購入価格または資産価値で割った数値のことで、実際には該当するマンションの家賃相場を調べ、1年間の家賃を物件価格で割った数値を出す。現在の金利水準なら、これが5%以上になるかどうかが目安になる。5%をクリアしていれば、賃貸や売却に出しても、ギリギリ黒字を達成できるはずだ。不動産価格が下落している今だからこそ、たとえ新築であっても業者の言い値ではなく、この水準まで値引き交渉をしてみることだ。

ちなみに賃貸価格を調べるには、希望エリアの不動産業者を実際に回るのがいいだろう。店頭の価格だけでなく、どのくらい値引いてもらえるのかなどを聞き出し、リアルな相場を探ってみる。私自身もこの方法で5年かけてリサーチし、物件の値引き交渉を実践。収支がトントン以上になるような条件で、希望の物件を手に入れることができた。

ローンは長い目で見れば、全期間固定金利で組むべきだろう。実際、旧住宅金融公庫ローンの例でも、金利が史上最低の2%になった1998年ごろにローンを組んだ人たちは、11年目にあたる昨年秋ごろから金利が2倍の4%に上昇。破綻予備軍増の引き金となっている。現在は、25~30年ものの長期固定金利が歴史的低水準にある。今後の金利上昇リスク担保の意味でも、目先の優遇金利につられて変動金利を選ぶよりも、長期固定金利を選ぶほうが賢明だろう。

では、すでにローンを抱えて返済が苦しくなった場合、どうしたらいいのか。まずは金融機関に状況を正直に話すことだ。相談次第では、返済期間の延長や、元金返済の保留が可能となる場合がある。相談できずに、消費者金融に手を出すようなことだけは絶対に避けるべきだ。

(構成=大沢玲子)