英語のトレーニングは分かるところから始まる

【三宅義和・イーオン社長】英語トレーニングの第一人者としての千田先生に、音読を中心とした学習法について、お聞きしたいと思います。先生の代表的な著作に、このシリーズ累計50万部以上の『英会話・ぜったい・音読』(講談社インターナショナル)があります。ここに載っている英語の例文は、中学校と高校の教科書から取られているのですね。

【千田潤―・アイ・シー・シー代表】そうです。だから、読んで訳すことは決して難しいものではありません。しかしながら、このレベルの英語をスラスラ話せて書けるかというと、これがなかなか難しい。

【三宅】できません。理解することと話せることはまったく違う。日本人の英語学習者に対しての非常に重要なメッセージになります。イーオンに来られる人で、テキストを見ると「これ、わかります。もっと難しいものをやりたい」と言われる人もいらっしゃいます。

もちろん、それは非常に重要だけれども、わかったものを使えるようにするのがトレーニングですよね。

三宅義和・イーオン社長

【千田】はい。それを強調するために、この本を書きました。日本人は英語を日本語に訳せると、そこでやめてしまう。今までの学校教育がそうだったから。英語の授業になると、「山田君、立って読んで訳して」、「はい、よくわかりましたね」で終わりでしたよね。

でも、英語のトレーニングは、わかるところから始まるんです。読んで理解できた英文を、書けるか、話せるか、発信できるかとなると、また違います。大切なのは「わかるをできる」にするトレーニングです。その基本は音読。これで耳が開く。音読はリスニング力強化の王様。そして音読しながら書く。これで口が開く。音読筆写はスピーキング力強化の王様。この2つの自己学習法をとくに薦めたくて書きました。

【三宅】最近はですね、昔に比べて音読の重要性が言われるようになってはいるのですが、そのわりには学習者は、音読を実践していません。音読のやり方がわからない人もいます。

【千田】音読を実践している人は本当に少ないですね。やり方が間違っている人もいます。まずCDなどをしっかり聴き、なぞって音読し、間違った発音をあぶり出す。聴きながら音読すればOKです。最初は、例えば10カ所ぐらい間違う。でも、2回、3回やると、10が8、6って減って、進歩が見えます。すると、人間は元気が出ます。さらに4回、5回やると、今度は限界が見えます。進歩が見えたあとに限界が見えると、人間って勝手に次の目標を設定して、やめなくなります。

その心構えを、僕はこの本で訴えたかった。「何回も繰り返しなさい」と。まず音を何回も真似て発音を矯正し、意味を理解した英文を音読と音読筆写で刷り込む。そして使う。この3つが大前提です。意味がわからない英語は雑音です。訳を見て意味を確認してもOK。発音記号を調べたり、英文を日本語に訳したりする時間を、何度も何度も繰り返して体に刷り込む「トレーニング」に使ってほしい。そして使って自分のものにしてほしいのです。

Learning is repeating. Using is learning.……このことを強調したかったのです。