スコアの“粉飾”で伸び悩む人

これからTOEICを受けようという人は、点数さえ上がればいいのか、英語が使いこなせるようになりたいのかを考えてほしい。

「TOEICは、いわば“英語の健康診断”。現時点の自分の英語レベルを、数値で示してくれます。でも、健康診断でもいるでしょう? 検査日1週間前から酒を断ち、酢大豆を食べ、数値を粉飾する人が。本来は健康であることが大切なはずなのに、いつしか目的がすり替わっている。さて、TOEICでも、似たようなことをしている人はいませんか?」

企業は「いよいよ英語が使えなければ戦えない」と考えて、社員にTOEICのスコアを要求する。だが、社員は言われた点数をクリアすることばかりに気を取られ、英語を使えるようになる勉強をしていない。

「以前は社員に700点突破を課していた企業が、750点、800点……と、どんどんハードルを上げているという話を聞いたことはありませんか? いくら高得点を取らせても現場で英語が使えないので、企業もイライラしているんです」

英語が使える、とは「読む・書く・聴く・話す」の4技能が使いこなせることをいう。だがTOEICは「読む・聴く」の2技能テスト。ここに最大の齟齬がある?

「実は、TOEIC自体がそこを心配して、『SWテスト』という“話す・書く”テストができました」

こう聞くと「今のTOEICでも手一杯なのに、さらに2科目追加されるのか……」と思われるかもしれないが、

「テストの問題を解けるようにならなくちゃという意識だから、そういう発想になるのです。英語ができるようになれば、読むも書くも聴くも話すも同じこと。2技能テストでも高得点が取れるし、英語が使えるようになりますよ」