“英語の先生”が教えられないこと

スコアが860点を超えると、非ネーティブとして十分なコミュニケーションができる“Aランク”と評価される。IIBCの調査でも、企業が国際部門の業務従事者に求める期待値が660~840点(平均750点)だから、ミッションはクリアしていると考えてよい。

となると、次に目指すべきは満点達成(990点)か!? と思いきや「点数を取るための勉強はそろそろ終わりにするとき」というのが中村澄子先生のアドバイスだ。

「ビジネスで英語を使いこなすことを目指している人なら、Aランク入りは“卒業”を考えるきっかけです。ライバルに差をつけるためには、もう少し頑張って900点超のスコアがあるとアピールになりますが、そのあたりまで。満点なんて目指すものじゃありません」

TOEICには情報収集能力を問うたり知能テストの様相を呈した問題も含まれる。また、会計レポートなどに使われるビジネス語彙も知らなければならない。そのため900点を超えたあたりからはほとんど“マニアの領域”になり、満点を取るには、おおよそ3~4年を費やすという。「資格に挑戦するような感覚で、満点を目指したという方がいてもいいとは思います。ですが、ビジネスの現場で英語を使いこなすためには、ほかにやらなければならないことがたくさんあるんです。

さし当たって必要になるのは、ライティングだ。これは日本でも同じだが、直接顔を合わせてコンセンサスを得た場合でも、確認のために後からメールを送り合うのはビジネスマナーになっている。ここで間違った表現を使ったり誤解を招く書き方をしてしまうと、大問題になりかねない。