ゴルフが教える「Simple is best」

昭和シェル石油 香藤繁常顧問

最近、ゴルフ場に足を運ぶと、クラブハウス内やコース上にシニアの人たちばかりが目につく。若いゴルファー人口は、明らかに少なくなってきている。私には、そのことがとても残念でならない。というのも、ゴルフというスポーツは単にスコアの優劣を競うだけでなく、仕事を遂行することと共通する部分が多いからだ。20代からはじめれば、両方があいまって、幅広く、深い学びを得ることができるのである。

ゴルフと仕事の共通点をいくつか挙げると、まず、どちらも一定の予測に基づいて行うということ。しかし、想定通りに順調にいくことはほとんどない。そんなプレッシャーのなかでの決断と実行が求められる。その間にもコースのコンディションや市場環境は常に変化すると考えておいたほうがいい。そうした際は、次善の策を用意して局面を打開していくことも必要だ。

次に、確かな戦略眼が求められる。コースには池もあれば、バンカーもある。そこで攻略法を定めてクラブを選び、思い切って振り抜かねばならない。しかも、その結果は自己責任という厳しさも同じ。当然、リスクマネジメントも重要になってくる。いうまでもなく健康も大切だ。心身がすこやかであれば、いつも平常心を保つことができ、沈着冷静な行動ができる。なおかつ、逆境を乗り越える忍耐力も健全な精神にこそ宿る。

さらにいえば、ゴルフ上級者は何をしてもシンプルに見える。クラブのスイングしかり、フェアウェイを歩く姿もしかり、クラブハウスでの会話もスマートだ。おそらく、ゴルフはメンタルなスポーツなので、自信が“たたずまい”に表れるのだろう。無駄な動きがなく、文字どおり「Simple is best」であり、それはビジネスマンにとっても理想の境地にほかならない。