ゴルフ場では「われ以外みなわが師」

イギリスのノーベル文学賞受賞作家ラドヤード・キップリングが「1ホールの中に人生のすべてがある」といっているが、まさしく至言だ。さらに、ゴルフと人生に共通するものを探すと、課題を克服しようと努力して、目標達成に向かってチャレンジし続けるところだろうか。そのプロセスに人間としての成長があるわけだから、仕事でしかそれが感じられないのではさびしいと思う。

私は22歳からクラブを握り、キャリアはもう40年以上になる。若い時は「いつかはハンデキャップをシングルにしたい」と願って練習にも打ち込んできた。回り道もしたが、現在のハンディキャップは「6」である。信じてもらえないかもしれないが、スコアも飛距離も年々伸びていて、私はさらに上達したいという意欲を持っている。だから、現在も練習に励んでいるわけだが、ゴルフはどこまでいっても完成のないスポーツだということだ。当面の課題をクリアすると、次の課題が見えてくる。そして、私はそこに最大の魅力を感じる。

この間、数えきれないぐらいの人たちとラウンドした。業界関係者はもとより、仕事関係以外の人たちも少なくない。若いときは、同じ組の人が続けてミスショットをするとイライラしたものだ。けれどもいまは、他人の失敗からもヒントを得ることができる。いってみれば、ゴルフ場では「われ以外みなわが師」という言葉がそのまま当てはまる。まさに、人生道場だといっていい。

だから私は、ことあるごとに若い人たちにゴルフを勧めてきた。もちろん、人生において遅すぎるということはないから、ある程度の社会的地位についてからでもかまわない。「よし、はじめよう!」と思い立ったときが、その人にとってのベストタイミングだと考えればいい。ただし、やる以上はゲーム感覚ではなく、本気でゴルフに打ち込んでほしい。私自身、いずれ顧問をリタイヤしても“ゴルフ道”を究めようという精進が人生を豊かにしてくれることだろう。

(岡村繁雄=構成)
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