【2.思考実験】実現不可能なことをシミュレーションする
「メタファー」力を鍛えるためには、日常的に様々な連想を働かせることが大切です。自分で自分になぞ解きを課す。
たとえば、ホテルの部屋のセキュリティに絶対必要なのが「鍵」だとしたら、パソコンでそれに相当するものは? 答えは、「パスワード」。あるいは海の上に「船」が浮かんでいるとして、インターネット上には何が浮かんでいる?
最初は単純なたとえから始まって、徐々に難易度をあげていく。「AならばB、ではCならば?」というように。
「メタファー」の次の段階にくるものに、「思考実験」があります。自分の頭の中だけで、実験をしてみること。
通常、何か実験を行うときには、それなりに実験機器なりを使用して、仮定と結果を証明しなくてはなりません。それをせずに、思考のみによって仮説を立て論証していくのが「思考実験」。ときには、そのほうが物事の本質がしっかりとつかめる場合もあります。
アインシュタインの相対性理論は、この「思考実験」から導き出されました。彼の場合は、「Gedanken experiment」として、はっきり自覚的に用いていました。
たとえば「コンビニエンスストアにレストランが併設されていたら」という仮定を設定したとする。実際にそれを試してみるには莫大なコストがかかるけれども、考えるだけなら自由です。もしかしたら、そのような「思考実験」の先にまったく新しいサービスや商品が現れるかもしれない。ひょっとしたら、なかには「ポスト・グーグル」並みのビジネス商機が潜んでいるかもしれないのです。
(三浦愛美=構成 的野弘路=撮影 ライヴ・アート=図版作成)