1日500通のメールも手早く処理

グーグル エンタープライズ部門 パートナーセールスグループリーダー 山本真人氏●1979年生まれ。国際基督教大学卒、東京大学大学院学際情報学府修了。通信会社を経て、2007年、グーグル入社。12年より現職。

「いちばん重要なのはROIをいかにして高めるかです」

急成長を続けるグーグルで、2012年世界一の営業マンに選ばれた山本真人氏に時間の使い方を尋ねると、間髪入れず、こんな答えが返ってきた。法人向けにGmailやグーグルカレンダーを提案し、15期連続、前期比100%以上の売り上げ目標を達成するトップセールスだ。

ROI(Return on Investment)とは投資利益率のことだが、時間にもこれがあてはまる。かけた時間に対し、どれだけのリターンが得られるかが大事だというのだ。それを意識せず、ただ時短やスピードを追求しても意味がないと山本氏は言う。

「リターンが少ないことには極力時間を割かない。その最たるものが通勤時間です。私は3年前に子どもが生まれたのをきっかけに、思い切って会社から15分の場所に引っ越しました。おかげで浮いた往復1時間分を、仕事や育児など、よりリターンの大きいことに費やせるようになったのです」

徹底した時間管理のもと、華々しい成果をあげる山本氏だが、ROIを意識するようになったのは、5年前にグーグルに転職してからだ。

当時、営業部門は立ち上がったばかり。部員は山本氏を含めてわずか2名でスタートした。

「とにかく仕事量が膨大でした。全部をきっちりやろうと思って寝ないでやりましたが、それでもこなせない。これまでと同じやり方ではダメだと気付きました。いかに投資効果が低い時間をなくすかということを真剣に考えるようになったのです」

まず変えたのが営業スタイルだ。営業先で顧客から技術的なことを質問されて即答できないとき、いったん会社に持ち帰って確認している時間は何も生み出していないことに気付いた。そこで、山本氏はGoogle+にあるチャット機能を利用し、その場で本社のエンジニアに答えてもらうようにして、持ち帰り時間をゼロにしてしまった。