会う以上は必ず目的を掲げる

ユニ・チャーム 営業本部プロケア営業 首都圏支店営業二部長 川崎綱大氏●1968年生まれ。東海大学卒。91年、ユニ・チャーム入社。横浜営業所、仙台営業所での店頭営業などを経て、2003年よりプロケア営業首都圏支店営業、07年より現職。

会議は午前中に集約し、午後は商談に出向く。ユニ・チャーム営業本部プロケア営業首都圏支店営業二部長・川崎綱大のスケジュールは明瞭だ。

担当する商品は大人用排泄ケア商品「ライフリー」。介護施設や病院、代理店(「ライフリー」を病院や施設に卸す問屋的機能)に出向いて、商品の効果的な選び方・使い方を提案する川崎の時間活用のポイントは「準備」の2文字に尽きる。「お客様の課題を解決するための営業活動なので、すぐには成約に結びつかない。だからこそ、先方が抱えている問題点を知り、事前に準備しておかなければ。それが結果的には1回の商談の効果を上げ、無駄な時間を減らすことにつながります」。

ユニ・チャームでは全社員が、週次でPDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)を回す「SAPS(Schedule Action Performan ce Schedule)週報」に沿って動いている。優先順位の高い課題に時間と行動を集中させるため、四半期の計画を月次、さらには週次に落とし込んで行動計画を立て、達成できなかったことは何か、その理由は何かを深掘りし改善につなげていくフォーマットだ。

行動指針は「会社支給手帳」に
全社員に与えられる「ユニ・チャーム手帳」を常に携帯。営業先でのメモとして活用するだけでなく、創業者、高原慶一朗氏の哲学がまとめられており、判断に迷ったときに読み返し、支えとしている。

この「SAPS週報」を川崎は最大限に活用している。いや、その徹底度合いは「使い倒す」という表現がふさわしいかもしれない。今週の実行計画や先週の反省、実施しなかった理由や成果が上がらなかった理由などを端的にまとめることはもちろん、取引先のキーマンごとに会う回数をあらかじめ設定し、会う目的まで明確に掲げている。現状のヒアリングなのか、進捗報告なのか、あるいは他社からの切り替え商談のクロージングなのか。その内容に無駄はない。

「目的を持って準備をしないと、『今日は何をしにきたのか』と思われる。実は、昔、『こういう打ち合わせや会議をやる意味があるの?』『これでは集まる意味がない』とお客様から言われたことがありました。自分でも、会議をやることが目的化していたんでしょうね。お会いする以上は必ず目的を掲げ、何かを持っていくようにしています」

入念な準備の核となるのが、ヒアリングと現状分析だ。排泄ケアに関するユニ・チャームのポリシーは、インナー(紙おむつに入れるパッド)をうまく使って、できるだけアウター(パンツ型紙おむつ)の交換回数を減らし、自分で歩いてトイレで排泄できるように導くこと。おむつの使用枚数が減ることになる提案がほとんどのため、短期的に見れば売り上げは下がるが、それぞれの現場に合った介護品質を向上させることで、継続的な取引に結びつけようという発想だ。