週末7時間かけて現状を分析
こうした失敗を経て、いま川崎は毎週土日のどちらかで6~7時間を割き、月曜日の午前中に開かれる経営会議に備えた準備や計画・提案に必要な現状分析、SAPS週報の仕上げ、さらには部下24名のSAPS週報を読み込んだうえでのアドバイス作成に充てている。
効果はてきめんだ。先日、とある代理店との会議で資料をもとにプレゼンを行ったところ、先方からこんな声をかけられた。
「こういった形でここまで分析してくれるのは御社しかないですね」
その会議資料は、市場のシェアやエリア別シェアに始まって、既存の物件(病院や介護施設)への取り組み事例の紹介、病院や介護施設からの評価の声、成約前のプロセス、今後の課題と対策などを、その代理店の4カ所の拠点別にまとめたもの。詳細な現状分析のうえにその代理店にいま必要な手立てを4拠点すべてにおいて導き出した内容は、賞賛の声で受け止められた。
「非常にうれしかったですね。とはいっても、まだどこかの物件を紹介されたということではありません(笑)。ただ、先方の営業責任者である専務が現場に対して『ユニ・チャームとの取引を優先的に進めるように』といった指示を出してくれた。やはり効果はあったと思います」
売上高は11期連続増、営業利益は5期連続増。過去最高の数字を更新しているユニ・チャームの「ライフリー」はトップシェアの25%を誇る。「お客様からの『ありがとう』『よかったよ』の声が一番うれしい」と語る川崎。彼のような、120%顧客目線で、無駄を排除するしくみづくりに徹底的に時間をかける営業マンが躍進の原動力だ。
(文中敬称略)
(永井浩=撮影)