女性活用、女性登用が叫ばれる中で、現場をあずかるマネジャーたちはこんなに困っている。人には言えない彼らの胸中を聞いてみると……
A部長(情報・通信業)「営業は時間通り完結しない仕事。なのに5時に帰られると困るよ」
B部長(電機メーカー)「管理職を外された男性社員にはマグマのように不満が溜まってる」
C部長(ゼネコン)「女性同士の妬みで起きるバトル。これこそ陰湿で激しいよ」
D部長(食品業)「周りへの配慮と仕事に対する責任感が足りない女性はいらない」
E支店長(金融業)「組織で泳ぐのが下手な女性は、一番苦手。昇進させられないね」

産休・育休の穴埋めをどうするのか

【A部長】安倍総理が「3年育休」や「だっこし放題」を謳う一方で、女性の活躍や登用を推進しなさいと言っているけど、矛盾しているよね。3年も育休をとったら逆にスキルは鈍るし、活躍できっこないよ。ビジネスの変化が激しい時代に、3年後に戻ってこられても仕事についていけないし、何より現場が困る。

【B部長】そう。実際に3年後に職場に復帰した女性がいたが、かつての同僚の男性が主任から係長になっていた。それなりに一生懸命に仕事をしても、ブランクがあるから同僚に追いついていけない。そのうち「なんであの人が私より偉くなっているの、これって逆差別じゃないの」と言い出したのには困ったよ。彼女は時間が止まったままだから、同僚が3年の間に成長したことを実感として受け止められないんだ。

【A部長】うちでは3年ごとに子供を1人ずつ、計4人産んで12年間休職して復帰した女性がいるよ。それだけの空白期間があると現場に置いておく場所もない。しかたがないから総務に置いて事務の仕事をさせていたんだが、それでも仕事が全然できない。彼女から「なんでこんな仕事しかさせてくれないんですか」と文句を言われたけど、与える仕事がないのだからしょうがない。結局、彼女は自分から辞めていったけどね。

【E支店長】確かに産休・育休で会社に復帰してもなじめなくて辞めてしまう人もいる。たとえば、バリバリ働いていた人が1年間休んで復帰したんだが、以前のようなパフォーマンスを出せなかった。本人自身も以前はできたのになぜできないのか、悩み苦しんでいた。こっちとしては1年間のブランクがあるし、子供の世話もしなければならないし、しかたがないとは思うが、本人にとってはできない自分が歯がゆくて、結局つぶれてしまう。そういう人が結構いる。だから個人的には長期の育休には反対だ。できるだけ育休を短くして、時短勤務で働くようにすべきだと思うね。

【C部長】うちは子供が3歳まで2回の育児休職をとれる制度がある。子供の事情で抜けられると、穴埋めしないといけないが、派遣会社から人を寄越してもらっても、当然、前の彼女と同じような仕事はできないし、質が落ちる。それに、業績のよい事業所は派遣の代替で補うことができるが、業績の悪いところは、穴埋めしないで現有人員でやらされる。そうなると、仕事のしわ寄せで1人当たりの負荷が増えるし、残業も増える。残業代が増えると上から文句を言われる。こっちの手も足も縛っておいて、上から働けと言われるのは正直きつい。部下からもなんとかしてくれと突き上げられるし、たまんないよ。

【D部長】同じ時短勤務の女性でも、時間内に仕事を一生懸命にこなし、仕事を整理して「あとはお願いします」と気を使って帰る人もいれば「何だよあいつ」と言われる短時間勤務の女性もいる。仕事をほったらかしにして時間だから帰りますというのでは周りの気持ちも違ってくる。本当に仕事が忙しいときは、時短勤務とはいえ、延長保育をお願いして残業する人もいるが、そういう人は子供が熱が出て、早く帰る場合には周りも助けてくれる。普段からの周りへの配慮と仕事に対する責任感があるかないかで、周囲の気持ちも大きく違う。

【A部長】仕事を放置して周りに気を使わない女性ほど、責任感がないというか、与えられた仕事もちゃんとこなさないタイプが多い。周りに気を使うように注意すると、必ず「私の勤務は4時までと決まっています」と言い返してくる。

【E支店長】既得権を主張するタイプの中にも高い業績を挙げる人はいるよ。多くの既得権タイプは他責志向が強いが、そういう人はだめ。また、理詰めでものを言う女性がよくいるよね、とくに技術系の女性には。論理が矛盾するのが大嫌いなタイプで、筋道を立てて説得しないと通じない。決して他責志向ではないが、組織で泳いでいくのが下手な女性。私が一番苦手なタイプだが、いくら成績優秀でも課長にしようとは思わないな。