「運命ってだいたい決まっているんじゃないですかね。自分が努力すれば、その先はもう決まっているんじゃないですか。そんな気がします」(浅田真央)(時事通信フォト=写真)

浅田真央選手を応援する人は、大会での彼女のパフォーマンスに注目する。しかし彼女自身は、「努力をすること」に意味を見出している。

極論すれば、彼女にとって大会における結果は、それほど大事なものではない。そこへ至るまでの準備をどれくらい完璧にしたか――。それが本人にとってのやりがいであることが、このコメントから窺える。

ソチオリンピックを終え、今後もフィギュアスケートを続けるかどうかについて、彼女は「ハーフハーフ」という独自の言い回しで答えている。もし、選手生活を続けるとしたら、そのモチベーションとなるのは、おそらくオリンピックの金メダルではない。これまでの努力の中に、「まだやり足りていないこと」を見つけたとき、選手生活を続ける決意をするのではないだろうか。

哲学者である、ハーバード大学のジョシュア・ハルバースタム博士は「仕事における最大の報酬は、その仕事をする行為そのものにある」と言っている。つまり仕事の成果はあくまで付録のようなもので、報酬とは、本当に泥臭い努力や作業の中にあるということ。そう考えれば、私たちはどんどん成長していけるのだ。

スポーツ心理学者 児玉光雄
追手門学院大学客員教授。臨床スポーツ心理学者として、プロスポーツ選手のメンタルカウンセラーを務める。著書に『田中将大から学ぶ負けない「気持ち」の創り方』など多数。
(構成=小澤啓司 写真=時事通信フォト)
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