いかにして自信を身につけたか

錦織 圭
島根県松江市出身。5歳でテニスを始める。2003年、(財)盛田正明テニスファンドの強化選手に選ばれ、IMGアカデミーにテニス留学。07年のジャパンオープンでプロ転向。14年、全米オープンでは、アジア人初グランドスラム準優勝という快挙を成し遂げた。

今回の全米オープンにおける錦織選手の活躍の中で私が強い印象を持ったのは、ベスト4進出時の記者会見です。彼が「勝てない相手はもういないと思う」と言った瞬間、背後にあるストーリーが思い出され、鳥肌が立つほどでした。

彼は日本の小学生のチャンピオンになり、盛田正明(ソニー創業者・盛田昭夫氏の実弟)テニスファンドの奨学生として13歳で単身渡米しています。言葉がわからず、周囲にもからかわれ「自分は本当にダメだ」と深く落ち込んだこともあったそうです。しかしその後、彼は「テニスが大好きだから」と、その気持ちを糧に頑張り、プロデビュー後、IMG(米フロリダ州のIMGニック・ボロテリー・テニス・アカデミー)のエリートに選抜されて米国のデルレイビーチ国際選手権で優勝します。

私が彼にインタビューをしたときの印象は、非常に謙虚、というもの。たとえば試合の解説を務めていたジョン・マッケンローが「彼はいつかグランドスラムのメンバーに入るだろう」と言ったことに対しては「本当に光栄です」と言い、その後、フェデラーと練習試合をさせてもらったことに触れ、「彼のような選手になりたい」「一緒に練習できたことは僕の宝物」とも話していました。いわば、まだ遠くに山の頂を仰ぎ見て、憧れを糧にしていたのです。